町家の秘密
先々月に放送されたNHKの全国版ニュースで、京都市が開発している防火雨戸を楽平家カフェで採用しており取り上げられましたので、そのことについてお話しさせていただきます。

皆さん、日本では趣のある古民家が何故残っていないかご存知でしょうか?ヨーローッパは美しい中世からの街並みを観光資源として大いに生かしています。日本は誇るべき伝統があるにも関わらず、それらを大切にしていないように見受けられます。

楽平家のように昭和25年以前に建てられた古い建物を、現行の建築基準法に則って 改築すると京町家のいろいろなしつらえや外観が保存出来なくなります。また手続きも煩雑で書類も多く様々に費用がかさみますので、大抵はマンションやアパートなどになってしまいます。

町家再生の運動が80年代から徐々に京都では民間から沸き起こってきました。そのような民間の動きに応えるように京都市は観光都市としての景観保存のために「歴史的建築物の保存及び活用条例」を近年定めて町家保存に乗り出しています。

楽平家はこの条例を使って改築されました。京都市と協議をかさねながら許可申請を行いますので手続きだけでも1年3ヶ月かかりました。最終的に保存計画を提出して細かい点まで建築審査会で審査されます。後々設計変更が出来ませんので、どうしてもフルスペックになって費用もかかってきますし、自らの責任になりますので京都市の意向が大きく反映された内容にならざるを得なくなります。

今回の防火雨戸は京都市として、景観保存と防火力を高める両面を狙った製品開発で、大臣認定をとって全国発信していこうという動きの中でのNHKの報道となりました。

先に述べました時間と費用が嵩む点で、このような条例を利用する施工者は多くなく、防火雨戸に関しては楽平家だけが採用しているということで取材に至りました。
  • 京町家は現在4万軒あるが、毎年8百軒が取り壊されている。
  • 木造で密集して建てられているので燃え広がりやすい。
  • 平成30年祇園の和食店の火事が周辺5棟に延焼
  • 京都市の試みとして景観を守りつつ、防災力を高める取り組みがなされる
  • 4年前に検討チームが出来、出火はもちろんのこと延焼を防ぐことを重点がおかれる。
  • 伝統の技を生かして火が入り込む隙間をなくす。

京都市にコラボ的に協力できたことは良かったと思っています。

今まで防火雨戸について詳しく知らず、今回はニュースを見て初めて良くわかりました。

伝統の技を生かしているという点は大変意義あることですが、より多くの人々が取り組まないと意味も薄れますし普及品になっていかないと価格的にも厳しく、本来の京都市の意図が生かされないのでその点が今後の課題だろうと思います。やはり2.5倍の費用は施工者にとってはネックとなりましょう。

しかしそれはわかりきった事柄であり、コロナによる人々の生き方や価値観が大きく変わり、例えば地産地消など、地域でお金が回る仕組みに人々の意識が向いている今、このような京都市の取り組みもその流れの中でスポットがあてられるだろうと思います。楽平家は先頭切って走っており、町家保存の面でも高く評価されているという事が今回の報道で広く世の中に知られる事となりました。
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