≪内容≫
社会のグローバル化が進むにつれ、国際結婚は増加傾向にあり、現在の日本社会でも両親のどちらかが外国にルーツを持つ家庭で生まれ育つ、ミックスルーツの子供たちが増えています。少しずつダイバーシティー(多様性)の理解は広がっていますが、メディアで取り上げられるポジティブな印象のハーフタレントやアスリートとは裏腹に、ミックスルーツとして日本で過ごす中で、自らのアイデンティティやルーツに悩む人々も存在します。差別的な扱いや、偏見、マイクロアグレッションが今もまだ存在する中、様々なバックグラウンドやアイデンティティを持つ人を理解するには何が必要なのか。オーストラリア国立大学の講師、高橋ゆりさんと対談しながら、皆様と一緒に考えたいと思います。
(川添ビイラル)
≪プロフィル≫
川添ビイラル
兵庫県神戸市出身。ビジュアルアーツ専門学校放送映画学科を卒業。卒業制作『波と共に』(2016) が、なら国際映画祭NARA-waveと第38回ぴあフィルムフェスティバルに入選し、2016年5月に開催された第69回カンヌ国際映画祭ショートフィルムコーナーに選出される。
卒業後、現場通訳や助監督としてキャリアをスタートし、世界的に有名な映画監督の元で映画制作の仕事に従事する。 日本で過ごすハーフの青年の葛藤を描いた物語『WHOLE/ホール』(2019) が第14回大阪アジアン映画祭インディー・フォーラム部門にてスペシャル・メンションを受賞し、北米最大の日本映画祭JAPANCUTS 2019へ正式出品される。
現在は東京と大阪を拠点とするフリーランスディレクターとして活躍しつつ、初長編映画を準備中。
川添ビイラル:
https://www.bilalkawazoe.com/ 映画『WHOLE/ホール』:
https://www.whole-movie.com/ ≪川添ビイラルさんとの対談に向けて≫ 高橋ゆり
日本社会に暮らすミックスルーツの人々の悩み、憤り、悲しさに可笑しさ、そして寂しさ。川添ビイラルさん監督の劇映画『WHOLE/ホール』はそうした思いが率直に伝わってくる作品です。繊細な美の世界とともに時に現実味ある映像は、官民挙げて国際化を謳う日本の国で置き去りにされているこの問題に目を向けさせます。川添さんと共に日本におけるミックスルーツの現状や過去、またオーストラリアにおける移民やミックスルーツ子女への教育との比較などを語り合うのを楽しみにしています。みんなが人間らしく生きられる社会を目指しながら。
(プロフィール)
1998年からオーストラリア在住。2000年から2016年までシドニー大学で日本語教育を担当する一方、近代ミャンマー文学、思想史の研究を続けた。シドニー大学歴史学科修士号及びアジア学博士号取得。2016年よりオーストラリア国立大学ミャンマー(ビルマ)語学科講師。1990年代からビルマ古典歌謡の歌手としても活躍中。