ドキュメンタリー映画「フィシスの波文」は2024年4月から劇場公開し、国年、海外で上映が続いています。文様は最古のメディアであり、人類の普遍のイメージを伝えています。タイトル考案は、人類学者の中沢新一さん。
『フィシス』に込められた意味とは。
文様が辿ってきた道から、人類の未来について考えていきます。
遠く、深く、文様に導かれた旅。
京都に400年受け継がれる唐紙文様を起点に、太古から文様にかたどられたフィシス(あるがままの自然)を辿る。 時空を超えて、そのあわいに見えてくるものはー
京都の唐紙工房「唐長」は、和紙に文様を手摺りする唐紙を400年間継承してきた。その手仕事の現場から、本作は始まる。
植物文、雲や星を表す天象文、渦巻きや波文などが刻まれた江戸時代の板木に、泥絵具や雲母を載せ、和紙に文様を写していく。その反復によって生み出される唐紙の、息をのむような美しさ。あるがままの自然のかたち、動き、リズム、色合い。文様と、自然の「かたち」や「気配」をカメラは丁寧に追っていく。
葵祭や祇園祭、寺社や茶事の空間に息づく文様。1万年余り前のイタリアの線刻画や古代ローマの聖堂を飾るモザイク。北海道のアイヌの暮らしに受け継がれている文様。時空を超えて旅は繋がっていく。
エルメスのアーティスティック・ディレクター、デザイナーの皆川明(ミナ ペルホネン)、美術家の戸村浩は、自然からのインスピレーションと、自らの創作について真摯に語る。密やかに行われるアイヌの儀式や山の神への祈りは、人と自然と文様との関係性を、より鮮明に浮きあがらせる。
小さな京都の工房から多層的に拡がる文様を巡る旅の記録が、私たちが忘れてしまった大切な感覚、全人類の古層とのつながりを思い出させてくれる。
『フィシスの波文』プロデューサー インテリア・プロダクトデザイナー
古代から現代まで世界各国の「文様」をテーマにしたドキュメンタリー映画『フィシスの波文』を企画・製作・プロデュース・配給。インテリア・プロダクトデザイナーとしても活動する。SASSO CO., LTD.代表。