欧米が牽引してきた舞台舞踊芸術、コンテンポラリー・ダンスは、さまざまな視点から身体に新たな眼差しを投げかけてきました。既成の身体語彙にはない動きの考案とラディカルなコンセプトや論理から、”新しい”ダンス表現の幅を広げてきました。一方で、それらの価値基準から逸脱する、アジアの多様な身体表現や技法が持つ力を再評価し、ダンス表現のこれからの可能性を探る重要性も注目されてきています。
2010年から現在まで、東南〜南〜中央アジアへの旅を通して、その土地に脈々と伝承される身体の所作、技法がどのような文化・歴史・社会背景に根差し、現代の社会でどのような役割を果たしているかをフィールドリサーチしてきました。その場に身を置き、肌で感じる体験から、身体で考え、刺激を受けて創作されたコンテンポラリーダンスのクリエーション過程についてお話しさせていただきます。
ダンサー・振付家、信州大学人文学部教授。1995年文化庁派遣在外研修員としてベルリンに留学。1994年ダンスカンパニー レニ・バッソを設立。2010年より、東南〜南アジア各地域のフィールドリサーチから舞台創作を展開する、国際協働制作プロジェクトを開始。2020年からはアイルランド~中央アジア~日本を越境する <Echoes of Calling project> を行い、国内外にて3つの作品を発表。2023年よりアジアの国々との新たな国際共同制作「Xstream project」を始動。同年発表した『Soul Hunter』は、『Echoes of Calling -rainbow after』と共に、第18回日本ダンスフォーラム大賞を受賞した。ACC個人フェローシップグランティスト(2015)2020/2021年度文化庁文化交流使。