東シベリア、サハ共和国のサハ民族の鉄口琴ホムスと北海道のアイヌ民族の竹口琴ムックリ
(直川礼緒蔵・撮影)
<無断転載ご遠慮ください>
第14回
『楽平家オンラインサロン』
2021年10月13日(水)
20:00〜
口琴 単純にして複雑な
楽器の魅力を探る
発表要旨とプロフィール
口琴は、世界中、特にユーラシア大陸で使われている不思議な楽器です。楽器の構造はとても単純で、部品としては、「枠」と「振動弁」のみ。基本音もひとつしかありませんが、演奏者の口を共鳴器として使うことにより、様々な「音色」の変化を生み出します。これを利用して、言語的なコミュニケーションや、倍音による疑似メロディも演奏可能です。

様々な民族が、それぞれ独自の素材や形状の口琴と、その音楽を発達させており、ミャンマーでもナガ、ダウンヨーといった民族が持つことが報告されています。日本では、アイヌ民族の竹製のムックリが比較的知られていますが、本州では平安時代の鉄製のものが4本発掘されており、また江戸時代には大流行して幕府に禁止された、という歴史もあります。

分布が広い割には、それぞれの文化の片隅に存在している場合が多く、あまり重要視されることがない楽器ですが、人間の音表現の原初的な形として、大きな意味があると考え、追いかけています。この謎の楽器の魅力を、お伝えできれば、と思います。

皆さんお持ちの、口琴情報もお寄せいただければ幸いです。

日本口琴協会サイト http://www.koukin.jp/
facebook 日本口琴協会


直川礼緒(Tadagawa Leo)プロフィール

金沢生まれ。日本口琴協会代表、国際口琴協会理事。東京音楽大学付属民族音楽研究所共同研究員。ロシア連邦サハ共和国文化功労者。
サハ共和国、トゥヴァ共和国をはじめ、ハカス共和国、アルタイ共和国、カザフスタン、ノルウェー、オーストリア、ハンガリー、ドイツ、アメリカ、中国など各地の口琴大会、民族音楽フェスティバル・音楽考古学会等に参加。演奏・研究活動のほか、口琴奏者の招聘公演の企画・制作多数。2011年第7回国際口琴大会(サハ共和国)のコンテストで、9名の「世界口琴名人」の一人に選ばれる。

著書・論文・CD
  • 1994「日本の口琴の源流」小島美子・藤井知昭 編『日本の音の文化』第一書房
  • 2005「口琴のひびく世界」日本口琴協会
  • 2011「西比利亜発 電脳空間行」CD
  • 2014「ジャパニスタンの音楽」CD
  • 2016-2021「アジアの発掘口琴チェックリスト」東京音楽大学付属民族音楽研究所研究紀要 vol. 5-9(継続中)
  • 2016「日本の博物館収蔵の樺太(サハリン)アイヌの金属製口琴」北海道博物館アイヌ民族文化研究センター研究紀要 第1号
  • 2018「シベリア~アジア民族音楽の連続性」永山ゆかり・吉田睦 編『アジアとしてのシベリア ロシアの中のシベリア先住民世界』勉誠出版
  • 2019「Asian Excavated Jew's Harps and their Typological Aspects 从类型学上探讨亚洲出土的口弦琴(アジアで出土した口琴の類型学的考察)」口頭発表(招聘)。国際シンポジウム『石峁皇城台考古新発現暨口簧国際研討会』、中国陝西省神木。主催:陝西省考古研究院、中共神木市委、神木市人民政府
  • 2020a 「口琴とは何であるのか ~その分類と、構成要素」日本民俗音楽研究所紀要第1号
  • 2020b 「江戸時代の口琴図絵」日本民俗音楽研究所紀要第1号
  • 2020c 「リング付き口琴と『調律された』口琴のセット ~サハのホムスの『改良』の発想とその実現」日本民俗音楽研究所紀要第1号
など
    【楽平家オンラインサロン 第14回報告】
    10月13日に開催された第14回楽平家オンラインサロンでとりあげられたのは「口琴(こうきん)」。口琴は世界各地、とりわけユーラシア大陸に古くから存在した楽器で、現在も様々な地域で受け継がれている。楽器の構造はシンプルであるにもかかわらず、表現技法はバラエティ豊かで奥が深い。今回はそんな魅力あふれる口琴についての研究、演奏活動を続けてこられた直川礼緒さんが、デモンストレーションを交えながら講演。楽器の構造や発音原理についての解説、長年にわたる現地調査での様々な体験談、さらには考古学調査の成果など、どれも興味深く、思わず引き込まれるお話だった。
    口琴のデモンストレーションをされる直川礼緒さん
    口琴との出会い

    直川さんが口琴に関心を持つようになったのは学生時代。北海道を旅行した時にアイヌの人々が伝承してきた口琴「ムックリ」に出会ったのがきっかけだという。その後1987年に日本人のガムラン・グループのメンバーとして、インドネシアのバリ島で開催されたガムラン・フェスティバルに参加したときに、「ゲンゴン」とよばれる口琴に遭遇。この口琴に出会ったのは、フェスティバルが終わったあとで、島の中をぶらぶら歩き回っていたときだそうだ。ゲンゴンの形がムックリとよく似ていたため、「なんでこんな離れたところによく似た楽器が存在するんだろう」と疑問に思い、口琴についてさらに深く探究する旅が始まった。
    ムックリ(下)とゲンゴン(上)【講演資料から】
    口琴の構造

    口琴とは、どんな楽器なのか。主な部品は外側の「枠」と内側の「振動弁」。形は大きく二種類に分類される。一つは「薄板状lamellate」、もう一つは「湾曲状bow-shaped」とよばれるもの。ムックリやゲンゴンは薄板状の楽器に分類される。この種の楽器は東アジアや東南アジアに比較的多くみられる。これに対して南アジア、中央アジア、ヨーロッパなどには湾曲状の楽器が多い。地域によっては、両方のタイプが存在する場合もある。また一般的に、薄板状の楽器は木や竹などの植物、湾曲状の楽器は鉄などの金属が素材となっている場合が多い。しかし前者の中には、素材として金属が用いられている場合もある。
    口琴の構造【講演資料から】
    発音の原理

    音を出すときには、この楽器を少し開いた状態にした口もとに持っていく。そして枠を、薄板状の楽器の場合には唇に、湾曲状の場合は歯に当てた状態にして、振動弁を動かす。振動弁の動かし方は楽器によって異なる。振動弁に紐がついているタイプの楽器の場合は、紐を引っぱって動かす。一方、紐がついていないタイプの場合は、直接指ではじく。口もとから離れた場所で振動弁を動かしても、微かな音しか鳴らない。しかし、開いた口もとにもっていき、唇につけた状態で音を出すと、はっきりと聴きとることができる音になる。これは口腔が共鳴器の役割を果たすからである。また直川さんによると、弁をはじいた時に鳴る音は、弁自体の振動音というよりは、枠と弁の隙間を通りぬける空気の音だという。つまり、口琴の音はちょうど窓に隙間があいている時に生じる「風切り音」と同じ原理で生じていることになる。
    鳴りの良い楽器の条件

    よく鳴り響く口琴を製作するためには、技術的な精度の高さが求められる。直川さんによると、とりわけ次の二つのポイントは、楽器の響きに大きく影響するという。一つ目は「枠と振動弁が隣り合う部分の鋭いエッジ」である。エッジ部分は振動弁の両側に形成される必要があるが、両側のエッジの角度が均一にならないと良い音が出ない。二つ目は「振動弁と枠の隙間の間隔」である。この隙間はごくわずかで、直川さんによると0.1〜0.15mm、「髪の毛一本分」あるいは「紙一枚が通るくらい」だという。どちらも口琴の音が「風切り音」であることと関わりが深いポイントだと言えるだろう。

    以上の二つの条件を満たす楽器を作るためには、精密な作業が必要になる。しかしインターネット上などで高額で販売されている口琴のなかには、この作業がきちんとおこなわれていない「まがいもの」も混じっているため、注意が必要とのこと。
    形は似ているが音が鳴らないニセモノ(左)と
    ホンモノ(右)【講演資料から】
    口琴の楽器分類

    では、数ある世界の楽器と比較して、口琴にはどのような特徴があるのか。音楽学研究において、現在最も科学的な楽器分類の方法として受けいれられているのが、1914年にザックスとホルンボステルが発表した分類法である。この分類法は、音の発生原理によって4つに分類した点に特徴がある。それぞれのカテゴリーは「体鳴楽器(木や金属などの物体が振動して鳴る)」「膜鳴楽器(動物の皮などの膜が振動して鳴る)」「弦鳴楽器(弦が振動して鳴る)」「気鳴楽器(空気の流れがエッジなどにぶつかって鳴る)」とされている。

    口琴はこの4つのカテゴリーのどれに分類されるのか。ザックスとホルンボステルは、口琴の音は金属あるいは竹などでできた振動弁自体の音であると考え、体鳴楽器に分類している。しかし直川さんによると、この説は極めて疑わしいという。というのは、音の発生原理についてきちんと検証すると、振動弁自体というよりは、振動弁が前後に動いたときに、枠と振動弁の隙間を通りぬける空気によって生じる音であることがわかるからだ。この点を踏まえて直川さんは「口琴は体鳴楽器ではなく、気鳴楽器である」という見解を示した。なお同様の説は1968年にアメリカの口琴研究者クレインによっても提唱されている[Crane 1968]。
    奏法と表現技法

    口琴の奏法はシンプルである。口もとに持っていって、指で直接はじくか、あるいは紐を引っ張って振動弁を動かせばよい。しかし口琴から生まれる音は、多彩である。これは口腔を共鳴空間として使用することと関わりがある。まず舌の位置や、頬の膨らませ具合などを調節して口腔の形を変えると、音高や音色が変化し、独特な響きが生まれる。また呼気と吸気を調節して、音にアクセントをつけることもできる。さらに指ではじく、または紐を引っ張るタイミングを調節すれば、リズムが生じる。また演奏中に、言葉を話すときのように口を動かせば、言語音とも楽器音とも、どちらとも言いがたい、独特な響きが生まれる。

    以上のような表現技法を駆使した口琴奏者たちのパフォーマンスはバラエティ豊かである。たとえば独特な響きそのものを、音響として楽しむパフォーマンス。自然の音を模倣することによるアニミズム的な信仰表現。日常会話の言語音とは異なる、独特な「口琴言葉」を駆使した異性への愛の告白。リズムを刻み、特定の倍音を強調することによって、複雑な旋律を奏でる芸術的な演奏。簡単に持ち運びができるシンプルな楽器でありながら、様々な音表現が可能である点が、この楽器の最大の魅力といって良いかもしれない。また、それだからこそ、世界各地にこの楽器は分布し、現在もなお受け継がれているのだろう。
    口琴の分布と歴史

    ところで口琴はいつ頃、どの地域で誕生し、その後どのように世界各地に分布するようになったのか。この謎に迫るべく、音楽学や考古学の専門家たちは発掘調査に基づく研究活動をおこなっている。直川さんは長年にわたって、世界各地の研究者たちの調査動向に注目し、ご自身も考古学調査に協力された経験がある。今回のオンラインサロンでは、そうした研究成果の一部をご紹介された。なお詳細については直川さんの論考「アジアの発掘口琴チェックリスト」シリーズをご参照いただきたい[直川 2016, 2017, 2018]。

    口琴は古くからユーラシア大陸の各地に存在したことが分かっている。最古の口琴が発掘された場所は、中国陝西省(内モンゴルの南)と遼寧省(日本に近い中国東部)。この地域からは紀元前20世紀に使用されていたと推定される薄板状骨製の口琴が見つかっている。薄板状の口琴に比べると、湾曲状の口琴が現れるのはずっと後の時代。最も古いのは紀元後5世紀の湾曲状鉄製の口琴で、ウラジオストック(ロシア沿海地方)で発見されている。

    このように古い時代の楽器が見つかっているのは、ユーラシア大陸のなかでも北東のアジア地域に集中している。ヨーロッパの遺跡から発掘されるのは、最も早くて紀元後十二・十三世紀。また今のところ、南アジアや東南アジアからは発掘調査で見つかった古い時代の口琴の報告はないという。竹などの植物でできた口琴が存在した可能性はあるが、こうした楽器は朽ちて無くなってしまうため、発掘調査で見つけることは難しい。

    下図は、ユーラシア大陸における口琴の分布と歴史について、直川さんがまとめたものである。長方形で表されているのが薄板状の口琴、二等辺三角形で表されているのが湾曲状の口琴である。
    ユーラシア大陸における口琴の分布
    【講演資料から】
    興味深いことに、日本からも古い時代の口琴が複数、発掘されている。それらの口琴が出土した場所は①埼玉県さいたま市の氷川神社東遺跡②埼玉県羽生市の屋敷裏遺跡③千葉県木更津市の花山遺跡である。下写真はその一つ、大宮市の氷川神社東遺跡から出土した口琴。
    埼玉県さいたま市の氷川神社東遺跡から出土した
    口琴【講演資料から】
    世界各地の口琴

    オンラインサロンでは、直川さんが世界各地で撮影された口琴の演奏シーンの写真が紹介された。とりあげられた写真の撮影地とエスニックグループの名称は、日本(アイヌ)、ミャンマーのシャン州(タウンヨー)、ミャンマーのカチン州(カチン)、インドのラージャスターン州(マンガニヤール)、ロシアのトゥヴァ共和国(トゥヴァ)、ロシアのハカス共和国(ハカス)、ロシアのアルタイ共和国(アルタイ)、ロシアのバシコルトスタン共和国(バシコルトスタン)、ロシアのサハ共和国(サハ)、カザフスタン(カザフ)、キルギス(キルギス)、ルーマニアのトランシルヴァニア地方(チャンゴー)など。口琴が今なお、世界中の人々によって受け継がれ、演奏されていることをあらためて実感させてくれると同時に、どんな機会にどのような目的で演奏されているのか、実際に現地で確かめてみたいという気持ちにさせられる写真だった。なお、このうちミャンマーの写真については渋谷武明さんが提供されたものとのこと。
    ミャンマーのカチンの口琴
    【講演資料から 写真:渋谷武明】
    サハの口琴

    上記の様々な地域の中でも、とりわけ口琴が大事にされているのがサハ共和国である。サハでは口琴は「春を呼ぶ楽器」とも考えられ、一家に一台はあるという。また11月30日は「口琴の日」と呼ばれる国の記念日で、国民が集まって口琴を演奏する。たくさんの人々が集まって口琴を演奏するのが最近の流行で、1344人で一緒に演奏したのが、ギネスブック記録になっている。
    「口琴の日」にこどもたちが集団で演奏している様子【講演資料から】
    またサハで、口琴を製作するのは鍛冶職人。鍛冶職人は人々から尊敬される存在で、社会的地位が高いのだという。下の写真はサハの鍛冶職人が、金属製の湾曲状口琴を熱間鍛造しているときの様子。いかにも「職人の仕事場」という雰囲気が伝わってくる一枚だ。

    鍛冶職人がはさみで持っているのは、楽器の外側の枠の部分だが、あらためてこの形状を見ると馬の蹄に打ち込む、蹄鉄に似ていることに気がつく。湾曲状の口琴については「馬蹄形」と形容され、騎馬民族と結びつきが強い楽器であるともいわれる。
    口琴を製作中のサハの鍛冶職人【講演資料から】
    講演を聞いて

    私は以前から口琴に関心があって、いつか入手して実際に鳴らしてみたいと思っていた。今回直川さんの講演を聞かせていただいたのを機に、ついにオンライン・ショップ「民族楽器コイズミ」で一台の口琴を購入することを決断。どれにしようか、一週間ほど迷ったのち、ベトナムの「ダンモイ(金属製薄板状口琴)」を注文した。三日後、楽器が到着。すぐに手にとって鳴らしてみようとする・・・が、口もとに持っていくといっても、どの辺りがよいのか最初はわからず、しばらくしてようやく「鳴りどころ」がみつかった。今も暇な時に、口腔の形を変えたり、「口琴言葉」を話してみたり、その独特な響きを楽しんでいる。

    ただ「民族楽器コイズミ」には、魅力的な楽器がほかにもたくさんあるので、すぐ別の楽器を注文してみたくてたまらない気持ちになってしまった。とりわけハカスの口琴「テミルコムズ」は、直川さんが指摘された「鳴りの良い楽器」の条件を完璧に満たしていると思われる美しい形状をしているので、注文しようか・・・と迷いつつ、なかなかの高額なので、今のところ思いとどまっている。

    また講演を聞いた後で、私が学生時代に留学していたインドの口琴について、少し調べ直してみた。まず旅行したことがあるラージャスターンの口琴「ムルチャング」。楽器の名前は「ムク」という語と「チャング」という語の合成とのこと[Deva 1977: 27]。ヒンディー語で「ムク」は「口」を意味する。また「チャング」はペルシア語由来の語で、もともとの意味は「竪琴」である[柘植 2010: 121]。したがって、まさに「口」と「琴」という語を組み合わせた言葉ということになる。なおムルチャングの製作工程が撮影された興味深い映像がYoutube上に挙がっているので、興味がある方は下記のリンクからご覧いただきたい。手動で皮フイゴを操作して金属を熱する場面で始まり、ハンマーで熱間鍛造する工程を経て楽器が完成するまで。単純な作業ではあるが、細かい部分をきちんと仕上げる技術は、熟練を要すると思われる。

    ムルチャングの製作工程
    https://www.youtube.com/watch?v=s0tU_Dom_Mg&list=RDZWnUQ9N0DhU&index=13

    つづいて講演の中でも話題に挙がった、南インド古典音楽で用いられる「モルシン」。この楽器の語源も「ムルチャング」と同じだと思われる。Youtube上で見つけた動画(下記リンク)では、女性の奏者がモルシンを演奏している。樽型両面太鼓「ムリダンガム」の音を模していると思われる音色が興味深く、リズム奏法も多彩で極めて技巧的なパフォーマンスである。講演の中でも女性が演奏している写真が登場したが、比較的にモルシンの奏者は女性が多いのだろうか、と疑問に思った。

    この報告レポートの初稿を直川氏をお読みいただいた際、この女性奏者について補足的な情報を提供していただいた。直川氏によるとこの奏者バギャラクシュミー Bhagyalaxmiは、「ベンガルールの有名なモルシン奏者一家の人で、南インドのモルシン奏者は基本的に男性である中、特異な存在」なのだという。

    モルシンの演奏
    https://www.youtube.com/watch?v=VE1GIINVvqg

    最後にもう一つ。ムルチャングについて書かれた文献を読んでいる時に、インド北東部アッサム州には「ゴゴナー」とよばれる口琴が存在することに気がついた[Deva 1977: 27]。この楽器は竹製の薄板状口琴で、形はムックリとよく似ている。興味深いのはビフという新年を祝う祭りで演奏される楽器だということ。この点は、サハ共和国において口琴が「春を象徴する楽器」とされることに類似するかもしれない。いつか機会があったら、ビフの祭りの詳細や口琴が演奏される場面について、現地で調査してみたい。なお下記リンクから①ビフの祭りの歌②ゴゴナーを演奏する若い女性③ゴゴナーの製作工程の動画を視聴できる。

    ビフの祭りの歌
    https://www.youtube.com/watch?v=4KWXX1lkvK8

    ゴゴナーを演奏する若い女性
    https://www.youtube.com/watch?v=x4VbYUUocms

    ゴゴナーの製作
    https://www.youtube.com/watch?v=_44WqWzO4oU


    引用文献
    Crane, Frederick The Jew's Harp as Aerophone. The Galpin Society Journal. no.21.(1968) p.66-69.
    Deva, B.C. Musical Instruments. New Delhi: National Book Trust. 1977.
    直川礼緒「アジアの発掘口琴チェックリスト(1):薄板状の口琴(1)」『伝統と創造:東京音楽
    大学民族音楽研究所研究紀要』第5巻、2016、57-70。
    「アジアの発掘口琴チェックリスト(2):薄板状の口琴(2)」『伝統と創造:東京音楽大学
    民族音楽研究所研究紀要』第6巻、2017、57-68。
    「アジアの発掘口琴チェックリスト(3):薄板状の口琴(3)と湾曲状の口琴(1)」『伝統と創造:東京音楽大学民族音楽研究所研究紀要』第7巻、2018、55-66。
    柘植元一「ターゲ・ボスターン摩崖浮彫に描かれたササン朝ペルシアの楽器」『東洋音楽研
    究第76号』2010、116-136。


    記事執筆 丸山洋司

    *「講演資料から」の写真のうち、特に注記のない場合は、直川礼緒さん撮影
    **無断転載ご遠慮ください。
    アンドモア
    参考資料の入手方法

    〇『日本民俗音楽研究所紀要』第1号 特集・日本とアジアの口琴
    日本民俗音楽研究所は、国立歴史民俗博物館名誉教授・小島美子先生の研究所です。日本口琴協会は、この紀要の編集に協力させていただきました。また、発売も担当させていただいています。内容は、イントロダクション、平安時代、江戸~明治時代、大正時代~昭和初期、現代の口琴製作、そしてアイヌ民族と、日本に脈々と伝わる「知られざる」口琴文化を一望にすることができます。また、アジアの口琴文化の例として、ミャンマー、南インド、サハ、モンゴルも取り上げます。
    カラー図版多数、348ページ。内容の一部(表紙・目次・創刊にあたって・奥付)のPDFは下記。
    http://www.koukin.jp/NKKContents/Kochira/Kochira2020/KiyouSendenyou.pdf
    1部3,000円(機関でご購入の場合はプラス10%Tax)、送料1部370円。ご興味のある方は、氏名・郵便番号・住所・電話番号・送金方法(みずほ銀行/ゆうちょ銀行/郵便振替/現金書留からお選びください)を明記の上、メールで下記までご連絡ください。その際、メールの件名は「口琴」としてください。(代金は、先払いでお願いいたします。)
    日本口琴協会 biyooon@koukin.jp

    〇『口琴のひびく世界』直川礼緒 2005
    バリ、サハ、ノルウェー、キルギス…。世界各地の口琴と、それに関わる人々。
    オールカラー192ぺージ。CD付き。付属のCDには、各章に関連する音源を、全27曲(67分21秒)収録。
    目次は http://www.koukin.jp/NKKContents/Katsudou/KatsuCD.html#nkk005
    1部3,000円、送料180円(『日本民俗音楽研究所紀要』と同時にご購入の場合は、送料は520円となります)。お問合せ方法は上記と同じです。

    〇口琴に関する情報は、日本口琴協会のサイト www.koukin.jp や、以下のFaceBookページをご参照ください。
    Facebookページ:https://www.facebook.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%A3%E7%90%B4%E5%8D%94%E4%BC%9A-Nihon-Koukin-Kyoukai-Japan-Jews-Harp-Association-1580354078935875
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